海外へ入国するとき、機内や到着ロビーで入国カード(Arrival Card / Disembarkation Card)や税関申告書を書く国があります。狭い座席で英語の欄を前に迷いがちですが、聞かれていることは毎回ほぼ同じです。この記事では住所欄の書き分けを中心に、実際に書く内容を記入例つきで整理します。
住所欄は2種類ある:自宅と滞在先
混乱の元は、住所を書く欄が2つあることです。名前が似ているので取り違えやすい部分です。
Home address / Permanent address / Residential address(自宅住所):日本の自宅を書きます。 → 3-12-5 Roppongi, Minato-ku, Tokyo, Japan
Address in ○○ / Address while in ○○ / Intended address(滞在先住所):渡航先の宿泊先を書きます。 → Hilton Tokyo, Shinjuku, Tokyo
滞在先はホテル名と都市名だけで受理されるのが一般的です。番地まで書ける場合は書いたほうが確実ですが、狭い欄に無理に詰め込む必要はありません。日本の住所を書く側の並べ方は日本の住所を英語で書く方法で解説しています。
滞在先ごとの書き方
ホテル:ホテル名+市名。予約確認メールを見られるようにしておくと確実です。 → Grand Hyatt, Sydney
友人・親族宅:相手の住所を書きます。関係を聞かれることがあるため、氏名も添えると親切です。 → 123 Main St, Los Angeles, CA(c/o John Smith)
民泊(Airbnb等):物件の住所を書きます。ホテル名の欄しかない場合は「Airbnb」と書いて住所を続けます。予約画面のスクリーンショットを保存しておくと、機内で圏外でも参照できます。
複数都市を移動する:**最初の宿泊先だけ**で足ります。全行程を書く欄ではありません。
クルーズ・トランジット:船名や乗継のみの場合は「In transit」と書ける様式が多いです。
未定:空欄で提出すると入国審査で質問されます。1泊目だけでも確定させておくのが安全です。ホテル住所の扱いは海外ホテル予約の住所入力も参考になります。
住所以外に必ず聞かれる項目
様式が違っても、聞かれる内容はほぼ共通です。事前にメモしておくと機内で慌てません。
- 氏名
- パスポートどおりのローマ字(Family name / Given names の欄に分かれます)
- 生年月日
- **日付の順序に注意**。DD/MM/YYYY の国(イギリス・オーストラリアなど)と MM/DD/YYYY の国(アメリカ)があります。欄の下の指示を必ず読んでください
- 国籍
- JAPAN または JAPANESE
- パスポート番号
- 券面のとおり
- 便名
- 搭乗券の「JL123」のような便名(航空会社コード+数字)
- 出発地
- 直前に出発した都市名。乗継がある場合は最後に出た空港の都市
- 渡航目的
- Tourism / Sightseeing(観光)、Business(商用)、Visiting friends or relatives(親族訪問)、Study(就学)
- 滞在日数
- おおよその日数
- 署名
- **忘れやすい項目**。署名欄が裏面にある様式もあります
氏名のローマ字は日本人の氏名をローマ字で書く方法、姓名の欄の区別はGiven Name・Surnameとは?を参照してください。
税関申告書で申告が必要になるもの
入国カードと別に、または一体の様式として税関申告(Customs Declaration)が付くことがあります。「該当なし」でも必ずチェックを入れて提出します。
申告対象になりやすいもの: ・現金(多くの国で1万米ドル相当を超えると申告義務) ・食品全般、特に肉製品・乳製品・果物・種子・植物 ・動物由来の製品、木製品 ・医薬品(処方薬は処方箋の写しを携帯) ・商品見本、販売目的の物品 ・免税範囲を超える酒・タバコ
オーストラリア・ニュージーランドは特に検疫が厳しく、**申告すれば廃棄で済むものを申告しなかった場合に高額の罰金**が科されます。迷ったら申告する(Yesにチェックする)のが正解です。申告しても違反にはならず、係員が判断してくれます。
なお、この記事の税関申告は「入国時に自分が持ち込む荷物」の申告です。荷物を郵送するときの通関申告書(CN22・CN23)は別物で、書き方も違います。そちらは通関申告書(CN22・CN23)の書き方で解説しています。
紙の記入が不要になっている国もある
近年は入国カードを廃止し、電子申告に切り替えた国が増えています。
- 電子化の例
- アメリカ(I-94は空路で自動化)、シンガポール(SG Arrival Card)、韓国(一部で免除)、タイ(電子化を段階導入)など。
- 日本への帰国
- Visit Japan Webで税関申告を事前登録できます。
電子申告でも入力する内容は紙と同じで、滞在先住所・便名・渡航目的を聞かれます。**登録は出発前に済ませるのが前提**の国もあるため、渡航先の最新の運用を必ず公式サイトで確認してください。制度は頻繁に変わります。
電子化された国では、事前にオンラインで渡航認証を取る仕組みもあります。アメリカのESTA(ESTAの住所欄の書き方)、カナダのeTA(カナダeTA申請の住所入力)、オーストラリア・ニュージーランドのETA / NZeTA(オーストラリアETA・NZeTA申請の住所入力)、韓国のK-ETA(K-ETA(韓国電子渡航認証)の住所入力)が該当します。
GlobalShipsで自宅住所の英語表記を用意しておく
入国カードで手が止まる原因の多くは、自宅住所の英語表記をその場で考えようとすることです。GlobalShips(globalships.jp)は郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換する無料ツールです。出発前に変換してスマートフォンのメモに貼っておけば、機内で圏外でも見返せます。処理はブラウザ内で完結し、住所情報が外部に送信されることはありません。
まとめ
入国カードの住所欄は、①Home addressには日本の自宅を逆順のローマ字で、②Address in ○○には渡航先の宿泊先を、と書き分けます。滞在先はホテル名と市名で足り、複数都市なら最初の1件だけで構いません。生年月日の日付順(DD/MM か MM/DD か)と署名の記入漏れが定番のミスです。税関申告は迷ったら申告するほうが安全です。