ESTAの申請で意外に手が止まるのが、両親の氏名を入力する欄です。自分や滞在先の情報は手元にありますが、親の名前をローマ字でどう書くのか、母親は旧姓なのか、そもそも親の情報がわからない場合はどうするのか、というところで止まります。この記事では、この欄が何を聞いているのかと、ケース別の埋め方を記入例つきで整理します。申請料金・有効期間・画面上の項目名は変更されることがあるため、申請の直前に公式の案内で確認してください。
この欄は何を聞いているのか
両親の氏名欄は、申請者本人を特定するための補助情報です。同姓同名の人物と取り違えないために、親の名前を照合材料として集めています。入国審査で親の名前を確認されるわけでも、親に何かの手続きが発生するわけでもありません。
入力するのは父と母それぞれの姓と名の2項目ずつ、合わせて4項目です。ミドルネームの欄は日本人の場合ありません。生年月日や国籍を聞かれることは通常ありませんが、様式は変わることがあります。
重要なのは、この欄が戸籍レベルの正確さを求めていないという点です。日常的に使っている表記で足ります。ESTA申請全体の住所欄の考え方はESTAの住所欄の書き方にまとめています。
ローマ字はヘボン式・すべて半角
両親の氏名はヘボン式ローマ字で、半角の英字だけで入力します。日本語入力をオフにしてから打つのが確実です。
伊藤健二 → ITO KENJI 佐藤陽子 → SATO YOKO 大野一郎 → ONO ICHIRO
長音(伸ばす音)はヘボン式では表記しません。「佐藤」は SATOU ではなく SATO、「大野」は OONO ではなく ONO です。パスポートと同じ流儀と考えてください。長音の扱いを含めたローマ字の作り方は氏名のローマ字表記ガイドで詳しく扱っています。
大文字と小文字はどちらでも受け付けられますが、すべて大文字で統一しておくと、本人の氏名欄との見た目が揃って確認しやすくなります。
母親の姓は旧姓か、現在の姓か
ここが最も迷う点です。結論としては、現在名乗っている姓を書けば足ります。
両親が結婚していて母親が父親の姓を名乗っている場合、父も母も同じ姓になります。父 ITO KENJI、母 ITO YOKO のように、姓が重複しても問題ありません。「同じ姓を2回書くのは間違いではないか」と考えて片方を旧姓に変える必要はありません。
母親が旧姓を使っている場合、離婚して旧姓に戻っている場合、事実婚の場合は、いま名乗っている姓を書きます。過去の姓を併記する欄はないので、どれか一つに決めて構いません。
再婚などで親が複数いる場合は、育ての親でも実の親でも、本人が親と認識している人物で足ります。どちらを書いたかで審査が変わる性質の欄ではありません。
わからない・故人・面識がない場合
親の氏名が本当にわからない場合、その欄には UNKNOWN と入力できます。UNKNOWN は米国側の様式で正式に使える入力値で、空欄にして先へ進めない状態を避けるために用意されています。
故人の場合:生前の氏名をそのまま書きます。亡くなっていることを申告する欄はありません。氏名が思い出せなければ UNKNOWN で構いません。
面識がない・戸籍上の記載がない場合:UNKNOWN と入力します。理由を説明する欄はありません。
片方だけわからない場合:わかるほうは実際の氏名、わからないほうを UNKNOWN にします。両方を UNKNOWN にする必要はありません。
姓だけわかって名がわからない場合:姓の欄に実際の姓、名の欄に UNKNOWN と入れます。項目ごとに分けて扱って構いません。
親の氏名がわからないことを理由に申請が止まる仕組みにはなっていません。無理に推測で埋めるより、UNKNOWN のほうが確実です。
記入例
一般的なケース(両親が同じ姓) Father Family Name:ITO Father First Name:KENJI Mother Family Name:ITO Mother First Name:YOKO
母親が旧姓を使っているケース Father Family Name:ITO Father First Name:KENJI Mother Family Name:SATO Mother First Name:YOKO
父親の情報がないケース Father Family Name:UNKNOWN Father First Name:UNKNOWN Mother Family Name:SATO Mother First Name:YOKO
入力後は、本人の氏名欄と綴りの流儀が揃っているかを見てください。本人を ITO と書いたのに親を ITOU と書くと、同じ家族なのに別の綴りが並ぶことになります。審査で弾かれる性質のものではありませんが、揃えておくほうが自然です。
別名(Other Names)の欄と混同しない
ESTAには、本人が過去に使っていた別名や旧姓を聞く欄が別にあります。両親の氏名欄とは別物です。
- 両親の氏名欄
- 父と母の名前を書く欄です。
- 別名の欄
- 本人が結婚・離婚・養子縁組などで使っていた別の氏名を書く欄です。該当がなければ「なし」を選びます。
結婚して姓が変わった人は、別名の欄に旧姓を書くことになります。ここに親の姓を書く必要はありません。逆に、両親の氏名欄に自分の旧姓を書くのも誤りです。
同様に、勤務先を聞く欄も独立しています。勤務先の書き方はESTAの勤務先・雇用主情報の書き方、米国内の連絡先はESTAの米国内連絡先の書き方にまとめています。
よくあるエラーと対処
- 1日本語・全角文字の混入:漢字やひらがなはもちろん、全角のアルファベットも弾かれます。半角に切り替えてください。
- 2姓と名を逆に入れる:Family Name が姓、First Name が名です。日本語の並びと同じで、姓が先の欄に来ています。
- 3スペースが混ざる:姓や名の中に不要なスペースが入っているとエラーになることがあります。前後の空白も削ってください。
- 4長音をそのまま伸ばす:SATOU、OONO のような表記はヘボン式では使いません。SATO、ONO にします。
- 5空欄のまま進めない:必須項目です。わからなければ UNKNOWN を入れます。
- 6記号を入れる:ハイフンやピリオドは基本的に不要です。英字だけで入力します。
- 7敬称を付ける:Mr. や Mrs. は書きません。氏名だけを入れます。
住所や氏名まわりで起きるミスは海外発送でよくある住所の間違いでも扱っています。
他の申請でも同じ欄が出てくる
親の氏名を聞く欄は、米国以外の渡航認証やビザ申請にもあります。考え方は同じで、ヘボン式ローマ字の半角英字、わからなければ UNKNOWN です。
- インドe-Visa
- インドe-Visa申請の住所入力。父母の氏名に加えて出生地や国籍まで聞かれる、入力量の多い様式です。
- 中国ビザ
- 中国ビザ申請書の住所入力
- ベトナムe-Visa
- ベトナムe-Visa申請の住所入力
一度ローマ字表記を決めたら、申請ごとに綴りを変えないでください。同じ人物の情報が別々の綴りで残ると、後から照合されたときに手間が増えます。メモに残して使い回すのが確実です。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。ESTAの自宅住所欄に必要な Address line / City / State / ZIP に分かれた形で出るので、そのままコピーできます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
自分自身の別名・旧姓の欄はESTAの別名・旧姓(Other Names Used)欄の書き方、出生地の欄はESTAの出生地(City of Birth)欄の書き方にまとめています。
まとめ
ESTAの両親の氏名欄は、父と母それぞれの姓と名を半角ローマ字で入れるだけの欄です。母親の姓は現在名乗っている姓で足り、父と同じ姓が並んでも構いません。わからない場合や故人の場合は UNKNOWN が使えます。本人の氏名欄と綴りの流儀を揃えておけば、それ以上に神経を使う欄ではありません。