ESTAの個人情報の画面には、生年月日のあとに出生地(City/Town of Birth)と出生国(Country of Birth)の欄があります。ここで手が止まる理由ははっきりしていて、日本のパスポートには出生地が載っていないからです。パスポートを見ながら入力してきた人が、この欄だけ書き写す元を失います。この記事では、どこで確認するのか、市区町村のどこまでを書くのかを整理します。
出生地はパスポートに載っていない
日本のパスポートの顔写真ページには「本籍(Registered Domicile)」の欄があり、そこには都道府県名だけが記載されています。これは本籍地であって出生地ではありません。本籍を東京に置いている大阪生まれの人は珍しくないので、パスポートの記載をそのまま写すと誤りになります。
出生地を確認できるのは次のあたりです。
- 母子健康手帳(出生の記録のページ)
- 出生届の記載事項証明書
- 戸籍謄本(出生事項に出生地が記載されています)
- 運転免許証の本籍… ではありません。これも本籍です
手元に何もない場合、親に聞くのが一番早い方法です。生まれた病院の所在地の市区町村が出生地になります。里帰り出産で親の実家の市で生まれた人は、育った町ではなくその市が出生地です。
市区町村のどこまで書くか
書くのは市区町村のレベルです。都道府県は書きません。番地や病院名も不要です。
東京23区で生まれた場合:区の名前を書きます。SHINJUKU-KU、SETAGAYA-KU など。-ku を付けずに SHINJUKU としても通ります。
政令指定都市の区で生まれた場合(横浜市青葉区、大阪市北区など):市の名前で足ります。YOKOHAMA、OSAKA。区まで書きたい場合は YOKOHAMA-SHI AOBA-KU のように市を先に置きますが、文字数の上限に当たることがあるので市名だけで構いません。
一般の市で生まれた場合:市名を書きます。MATSUMOTO、KANAZAWA。-shi は付けても付けなくても構いません。
郡部の町村で生まれた場合:郡は省き、町村の名前を書きます。長野県北安曇郡白馬村なら HAKUBA-MURA または HAKUBA。郡名(KITAAZUMI-GUN)は不要です。
迷ったら、市区町村の名前だけを書く。これで足ります。
ローマ字表記のルール
地名のローマ字はヘボン式で、長音は伸ばさずに書きます。
- 大阪 → OSAKA(OHSAKA・OOSAKAではない)
- 京都 → KYOTO
- 別府 → BEPPU(小さい「っ」は子音を重ねる)
- 新宿 → SHINJUKU(「し」はSHI)
- 八王子 → HACHIOJI(「ち」はCHI)
- 四日市 → YOKKAICHI(小さい「っ」+「か」でKKA)
地名に含まれるハイフンやスペースの扱いは緩やかです。つくば市なら TSUKUBA、さいたま市なら SAITAMA と、ひらがなの市名もローマ字にします。
入力は半角の英字で行います。全角文字や漢字は受け付けられません。都道府県名の英語表記の一覧が必要な場合は都道府県の英語表記一覧にまとめています。北海道・東京・大阪・京都のように表記に癖のある地名は、それぞれ北海道の英語表記、東京の英語表記、大阪の英語表記、京都の英語表記で扱っています。
市町村合併で名前が変わっている場合
平成の大合併で、生まれた当時の市町村がいまは存在しないという人が大勢います。この場合どちらを書くかで迷いますが、考え方はシンプルです。
基本は、戸籍に記載されている当時の名称を書きます。出生時の記録に残っている名前だからです。
ただし、当時の名称がフォームの選択肢に無い、文字数に収まらない、あるいは当時の名称が分からないという場合は、現在の自治体名を書いても実務上は通っています。たとえば旧・穂高町で生まれた人が AZUMINO(安曇野市)と書くようなケースです。
大切なのは、どちらを書いたかを控えておくことです。ビザ申請や入国審査で同じ質問をされたときに、前と違う答えを書かないようにするためです。書類間で表記が揃っていれば問題になりにくく、揃っていないと確認に時間がかかります。
合併前後で読み方まで変わっている場合は、戸籍の記載を優先してください。
海外生まれ・出生国の欄
Country of Birth はプルダウン式で、日本生まれなら JAPAN を選びます。国名を自由に打ち込む欄ではないので、リストから選択してください。
海外で生まれた日本人は、生まれた国と都市を選びます。City of Birth には現地の都市名を英語で書きます。ロサンゼルスなら LOS ANGELES、ロンドンなら LONDON です。日本語のカタカナ読みをローマ字化するのではなく、その国での正式な英語表記を使ってください。
生まれた国が現在は存在しない、あるいは国名が変わっている場合は、プルダウンにある現在の国名から生まれた地域に対応するものを選ぶことになります。判断がつかない場合は、公式の案内を確認してください。
国籍と出生国は別の欄です。日本国籍でも生まれがアメリカなら、Country of Birth は UNITED STATES です。この場合は米国籍を持っている可能性があり、ESTAの利用可否そのものに関わることがあるため、渡航前に公式で確認することをおすすめします。
主要都市の記入例
そのまま使える例です。
東京都新宿区 → SHINJUKU-KU 東京都八王子市 → HACHIOJI 神奈川県横浜市港北区 → YOKOHAMA 神奈川県川崎市 → KAWASAKI 埼玉県さいたま市 → SAITAMA 千葉県船橋市 → FUNABASHI 愛知県名古屋市中区 → NAGOYA 大阪府大阪市北区 → OSAKA 大阪府堺市 → SAKAI 京都府京都市左京区 → KYOTO 兵庫県神戸市 → KOBE 広島県広島市 → HIROSHIMA 福岡県福岡市 → FUKUOKA 北海道札幌市 → SAPPORO 沖縄県那覇市 → NAHA 長野県北安曇郡白馬村 → HAKUBA-MURA
政令指定都市はいずれも区を省いて市名だけで足ります。
他の欄で止まったときは
ESTAで日本人が手を止めやすい欄は、ほかにもあります。
- 住所欄(Address Line 1・2、State/Province)
- ESTAの住所欄の書き方
- 別名・旧姓(Other Names Used)
- ESTAの別名・旧姓欄の書き方
- 国民ID番号(National Identification Number)
- ESTAの国民ID番号の書き方
- 両親の氏名
- ESTAの両親の氏名欄の書き方
- 勤務先・雇用主
- ESTAの勤務先・雇用主情報の書き方
- 米国内連絡先(Point of Contact)
- ESTAの米国内連絡先の書き方
出生地は、ビザ申請や各国の渡航認証でも同じように聞かれます。イギリスのETA(イギリスETA申請の住所入力)、カナダのeTA(カナダeTA申請の住所入力)、オーストラリア・ニュージーランドのETA / NZeTA(オーストラリアETA・NZeTA申請の住所入力)でも、今回決めた表記をそのまま使ってください。戸籍から出生地を確認して英訳が必要になった場合は戸籍謄本を英訳する方法を参照してください。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。市区町村のローマ字表記もそのまま確認できるので、出生地の綴りに迷ったときの確認にも使えます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
まとめ
出生地には生まれた市区町村の名前をローマ字で書きます。都道府県も病院名も不要です。政令指定都市は市名だけ、東京23区は区名、郡部は町村名で足ります。日本のパスポートに載っているのは本籍であって出生地ではないので、母子手帳か戸籍で確認してください。市町村合併で名前が変わっている場合は、どちらを書いたかを控えて他の書類と揃えることが大切です。最新の入力仕様や制度上の要否は、申請前に公式サイトで確認してください。