イギリスのETA(Electronic Travel Authorisation)を申請すると、職業を尋ねられる場面があります。住所や氏名は書き写せば済みますが、職業だけは自分で英語を決めなければなりません。日本語の「会社員」に対応する英単語が無いことに気づいて、ここで止まる人が多い欄です。この記事では、立場別の書き方と、避けたほうがいい表記を整理します。
「会社員」は英語にならない
日本語の「会社員」は、雇われて働いているという雇用形態を表す言葉で、何をしているかを表していません。英語の職業欄が知りたいのは何をしているかのほうなので、そのまま訳した Company Employee や Office Worker は、書いても何も伝わらない表記になります。
書くのは職種です。名刺の英語面に印刷するような、役割の名前を使ってください。
- 営業 → Sales Representative(管理職なら Sales Manager)
- 経理 → Accountant
- 人事 → HR Staff / Human Resources
- 総務 → General Affairs
- エンジニア → Software Engineer / Systems Engineer
- 企画 → Planner / Marketing Planner
- 広報 → Public Relations
- 製造 → Factory Worker / Production Staff
- 販売 → Sales Staff / Shop Staff
- 事務 → Administrative Staff / Clerk
- 研究 → Researcher
- 教員 → Teacher
- 看護師 → Nurse
- 公務員 → Civil Servant / Government Employee
肩書きを盛る必要はありません。実態と大きく違う役職名を書くと、他の書類との整合を聞かれたときに説明が要ります。名刺やLinkedInの英語表記があるなら、それに揃えるのが一番安全です。
勤務先の名称や住所を別の欄で聞かれる場合の書き方はESTAの勤務先・雇用主情報の書き方に整理しています。英文の職務経歴で使う表記は英文履歴書・CVの住所と連絡先の書き方を参照してください。
働いていない場合の書き方
無職や学生であることは、それ自体が不利になるものではありません。実態どおりに書いてください。曖昧にごまかすほうが、あとで説明を求められます。
主婦・主夫 → Homemaker。Housewife も通じますが、性別を含まない Homemaker が現在の一般的な表記です。
学生 → Student。大学院生なら Graduate Student、高校生なら High School Student と補足できます。学校名を別の欄で聞かれることがあります。
無職 → Unemployed。求職中であることを示したいなら Job Seeker とも書けますが、Unemployed で問題ありません。
退職者 → Retired。年金生活であることまで書く必要はありません。
育児休業中 → On Parental Leave、または在職中の職種をそのまま書きます。籍が会社に残っているなら後者のほうが実態に近くなります。
フリーランス → Freelance + 職種。Freelance Designer、Freelance Writer のように書きます。
自営業 → Self-employed。業種が分かるほうが親切なので、Self-employed (Restaurant) のように補えます。
会社役員・経営者 → Company Director、Company Executive、または CEO。登記上の役職に近いものを選んでください。
パート・アルバイト → 職種で書きます。Part-time Sales Staff のように雇用形態を添えても構いません。
書き方のルール
欄そのものは短く、長い説明を入れる場所ではありません。次の点だけ守れば足ります。
半角の英字で書く。日本語や全角文字は受け付けられません。
一語か二語に収める。文章にしないでください。「I work at a trading company as a sales person」のような書き方は、欄の想定外です。
略語を避ける。社内でしか通じない略称や、日本独自の職位名をローマ字にしたもの(Kacho、Bucho など)は伝わりません。Manager、General Manager と訳してください。
他の書類と揃える。ビザ申請、入国カード、宿泊登録カードなど、同じ渡航で職業を書く機会は複数あります。書類ごとに違う職業名を書くと、確認に時間がかかります。一度決めた表記を控えておき、全部そこから写してください。入国カードの書き方は入国カード(Arrival Card)の住所欄の書き方、宿泊登録カードはホテルの宿泊登録カードの書き方にまとめています。
スペルを確認する。職種名は綴りを間違えやすい単語が多くあります。Accountant、Representative、Engineer あたりは特にです。
職種別の記入例
そのまま使える例です。左が日本語での言い方、右が記入する英語です。
商社の営業 → Sales Representative メーカーの技術職 → Engineer IT企業のプログラマ → Software Engineer 銀行員 → Bank Employee(職種が明確なら Loan Officer など) 公務員(市役所) → Civil Servant 小学校教員 → Teacher 医師 → Doctor / Physician 看護師 → Nurse 薬剤師 → Pharmacist 美容師 → Hairdresser 調理師・料理人 → Chef / Cook 運転手 → Driver 建設作業員 → Construction Worker 農業 → Farmer 漁業 → Fisherman 弁護士 → Lawyer / Solicitor 税理士 → Tax Accountant 建築士 → Architect デザイナー → Designer カメラマン → Photographer 通訳・翻訳 → Interpreter / Translator 保育士 → Nursery Teacher / Childcare Worker 介護職 → Care Worker 警備員 → Security Guard
該当するものが無ければ、一番近い役割の名前を選んでください。完全一致の単語を探すより、何をしているかが伝わることのほうが大切です。
ETA申請の他の欄
職業欄の前後にも、日本人が迷いやすい欄が並びます。
住所欄:日本の住所を英語の語順に並べ替えて入れます。イギリスETAの住所欄の書き方に、Address Line 1・2 と County、Postcode の対応を整理しています。イギリス側の滞在先住所の読み取り方はイギリスの滞在先住所の書き方にまとめました。
氏名:パスポートの綴りをそのまま写します。Given Name と Surname の区別はGiven Name と Surname の意味を参照してください。
生年月日:日付の順序を取り違えないよう注意が必要です。海外フォームの日付入力で見分け方を扱っています。
郵便番号・都道府県:入力が弾かれる場合の対処は海外サイトで日本の郵便番号・都道府県が弾かれるときの対処法にまとめています。
他国の渡航認証でも同じ職業欄が出てきます。ESTA(ESTAの住所欄の書き方)、カナダのeTA(カナダeTA申請の住所入力)、オーストラリア・ニュージーランド(オーストラリアETA・NZeTA申請の住所入力)、韓国のK-ETA(K-ETA(韓国電子渡航認証)の住所入力)でも、今回決めた表記をそのまま使い回してください。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。ETA申請の住所欄に入れる Address Line 1・2、City、County、Postcode をそのまま写せる形で確認できます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
パート・派遣・自営業・転職予定のときの書き方
雇用形態が会社員以外のときも、書くのは「何の仕事をしているか」です。
- パート・アルバイト:仕事の内容を書く(例:Retail Assistant、Restaurant Staff、Office Assistant)。Part-time Worker だけでは職種が伝わりません
- 派遣社員:派遣先での仕事の内容を書く(例:Administrative Assistant、Data Entry Clerk)
- 自営業・フリーランス:仕事の内容+必要なら Self-employed(例:Freelance Designer、Self-employed Carpenter)
- 会社経営者・役員:Company Director、Business Owner など
- 副業がある:主な収入源になっている仕事を1つ書く
- 転職の予定がある:申請する時点の仕事を書く
- 定年後に再雇用:今の仕事の内容を書く。働いていなければ Retired
ETAの職業欄は、ほかの書類(航空券の予約、入国カード、ESTAなど)と矛盾がないことが大切です。同じ渡航で使う書類は、表記を揃えておきます。
まとめ
職業欄には雇用形態ではなく職種を書きます。会社員をそのまま訳した Company Employee は情報がないので、営業なら Sales Representative、経理なら Accountant のように役割の名前を選んでください。働いていない場合は Homemaker、Student、Unemployed、Retired と実態どおりに書けば足ります。半角英字で一語か二語、略語と社内用語は避ける。そして同じ渡航で使う他の書類と表記を揃えておく。これで職業欄は終わりです。申請の要件や画面の仕様は変わることがあるため、申請前に公式サイトで確認してください。
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