ESTAの申請画面で日本人が高い確率で手を止めるのが「国民ID番号(National Identification Number)」の欄です。日本には国民IDという言葉で案内される番号がないため、何を入れればいいのか判断がつきません。この記事では、この欄が何を聞いているのか、日本人はどう埋めるのか、似た名前の他の欄とどう違うのかを整理します。画面の項目名や必須かどうかの扱いは変更されることがあるため、申請の直前に公式の案内で確認してください。
この欄は何を聞いているのか
国民ID番号は、国籍のある国が国民一人ひとりに発行している識別番号を指します。国民IDカードの制度がある国では、そのカードに印字されている番号がこれにあたります。
世界にはIDカードの携帯が義務づけられている国が多く、そうした国の申請者にとっては手元のカードを見て写すだけの欄です。米国側の様式は、そういう国の人も日本のような国の人も同じ画面で扱うために、この欄を共通で置いています。
つまりこの欄は「あなたの国にそういう番号があるなら書いてください」という趣旨のもので、必ず何かの番号を持っていることを前提にしてはいません。ESTA申請全体の住所欄の考え方はESTAの住所欄の書き方にまとめています。
日本のパスポートで申請する場合
日本には、この欄が想定する形で海外の申請に提示することを前提とした国民ID番号の運用がありません。そのため、該当なしとして UNKNOWN と入力する案内が広く使われています。
National Identification Number:UNKNOWN
UNKNOWN は米国側の様式で正式に使える入力値です。空欄では先に進めない場合があるため、こうした逃げ道が用意されています。ハイフンや記号は入れず、半角大文字で UNKNOWN と打つだけです。
マイナンバー(個人番号)については、日本国内での利用範囲が法令で定められている番号です。海外の申請フォームに書くよう求められている番号ではないため、この欄に入れる前提で考えないほうが無難です。番号の性格上、扱いに迷う場面では入力を避け、公式の案内に沿って判断してください。
税務書類での番号の扱いは事情が異なります。米国の源泉徴収に関するW-8BENでは、外国の納税者番号の欄が別に用意されています。詳しくはW-8BENの住所と番号の書き方を参照してください。
パスポート番号を入れる欄ではない
最も多い誤解が、この欄にパスポート番号を入れてしまうことです。旅券に関する情報は別のまとまりで聞かれます。
- 旅券情報の欄
- パスポート番号、発行国、発行日、有効期限を入れます。券面の表記をそのまま写します。
- 国民ID番号の欄
- 国が発行する識別番号です。パスポート番号とは無関係です。
パスポート番号を国民ID番号の欄に入れても、その場ではエラーにならないことがあります。桁数や形式のチェックが緩い欄だからです。ただし本来と違う情報が残るため、気づいた時点で UNKNOWN に直しておくのが素直です。
運転免許証の番号、健康保険証の記号番号、住民票コードも、この欄に入れるものではありません。いずれも国民ID番号として海外に提示する運用のある番号ではありません。
二重国籍・他国の国籍を持っている場合
日本以外の国籍も持っていて、その国が国民ID番号を発行している場合は、その番号を書くことになります。
ESTAには国籍を聞く欄と、他の国籍の有無を聞く欄があります。他国籍があると答えた場合、その国のID番号を求められる流れになります。手元にIDカードやそれに相当する書類があれば、券面の番号をそのまま写します。
番号の形式は国によってまちまちで、数字だけの国もあれば英字が混じる国もあります。ハイフンの有無は券面に合わせてください。券面にハイフンが入っていない番号に、自分でハイフンを足す必要はありません。
過去に他国籍を持っていて現在は放棄している場合の扱いは、様式の質問文によって異なります。ここは自己判断せず、公式の案内で確認してください。
記入例
日本のパスポートのみで申請する場合 National Identification Number:UNKNOWN Passport Number:TR1234567(券面のとおり) Issuing Country:JAPAN
日本と他国の二重国籍で、他国がIDを発行している場合 National Identification Number:(そのIDカードの番号を券面どおりに) Passport Number:申請に使うパスポートの番号
入力後、旅券情報の欄と国民ID番号の欄に同じ番号が並んでいないかを確認してください。同じ番号が2か所に入っているなら、どちらかが誤りです。
よくあるエラーと対処
- 1空欄で送信できない:UNKNOWN と入力します。半角大文字です。
- 2全角文字の混入:日本語入力をオフにしてから打ってください。全角のアルファベットも弾かれます。
- 3Unknown と小文字混じりで入れる:受け付けられることが多いですが、大文字で UNKNOWN に揃えておくのが確実です。
- 4なしやN/Aと日本語・記号で入れる:様式が想定している値ではありません。UNKNOWN を使います。
- 5パスポート番号を入れてしまう:旅券情報の欄と重複します。国民ID番号の欄は UNKNOWN に直します。
- 6スペースが混ざる:前後の空白も含めて削ってください。
- 7番号の桁数が合わないと言われる:他国のIDを入力している場合は、券面の表記どおりか、ハイフンの有無が合っているかを見てください。
申請フォーム全般で起きる入力ミスは海外発送でよくある住所の間違いでも扱っています。
ESTAで並んで迷いやすい他の欄
国民ID番号の前後には、日本人には馴染みのない欄がいくつか並んでいます。あわせて確認しておくと、途中で止まらずに済みます。
- 両親の氏名
- 父と母それぞれの姓と名です。わからなければ UNKNOWN が使えます。ESTAの両親の氏名欄の書き方
- 勤務先・雇用主情報
- 会社名と住所です。無職・学生・退職者の選び方も含めてESTAの勤務先・雇用主情報の書き方
- 米国内連絡先
- 知人がいなくても宿泊先ホテルで埋められます。ESTAの米国内連絡先の書き方
- 自宅住所
- 日本の住所を逆順の半角ローマ字にします。ESTAの住所欄の書き方
この4つと国民ID番号を押さえておけば、日本人が詰まる箇所はほぼ通過できます。
他国の渡航認証にも似た欄がある
国民ID番号にあたる欄は、米国以外の電子渡航認証にも置かれていることがあります。考え方は同じで、日本のパスポートで申請するなら該当なしとして扱うか、様式が用意している選択肢を選びます。
- カナダeTA
- カナダeTA申請の住所入力
- イギリスETA
- イギリスETA申請の住所入力
- オーストラリア・ニュージーランドのETA
- 豪州・NZのETA申請の住所入力
- 韓国K-ETA
- K-ETA申請の住所入力
番号を求める欄が出てきたときは、パスポート番号で代用せず、その欄が何の番号を聞いているのかを先に確認してください。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。ESTAの自宅住所欄に必要な Address line / City / State / ZIP に分かれた形で出るので、そのままコピーできます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
同じ画面にある出生地の欄はESTAの出生地(City of Birth)欄の書き方、別名・旧姓の欄はESTAの別名・旧姓(Other Names Used)欄の書き方で解説しています。
まとめ
ESTAの国民ID番号は、国が国民に発行する識別番号を書く欄です。日本のパスポートで申請する人は UNKNOWN と入力する案内が広く使われています。パスポート番号を入れる欄ではないので、旅券情報の欄と同じ番号が並んでいないかだけ確認してください。二重国籍で他国のIDがある場合は、券面の番号をそのまま写します。