国際結婚の手続き、海外の永住権・ビザ申請、海外での相続などで「戸籍謄本の英訳」を求められることがあります。ところが役所の窓口で英語版を頼んでも発行してもらえません。戸籍は日本語でしか発行されないためです。この記事では、誰がどう英訳するのか、本籍地の住所と氏名を英語でどう書くのか、そして認証(公証・アポスティーユ)がいつ必要になるのかを順を追って解説します。
戸籍謄本の英訳が必要になる場面
主に次のような手続きで求められます。
- 国際結婚:相手国の役所や大使館に、独身であることや親子関係を示す資料として提出します。婚姻要件具備証明書とセットで求められることが多い書類です。
- ビザ・永住権の申請:家族関係を証明する書類として、配偶者ビザや家族帯同ビザで提出します。
- 海外での相続手続き:被相続人と相続人の関係を示すために、金融機関や裁判所へ提出します。
- 海外での出生・認知の届出:日本側の戸籍の記載を相手国に示す場面です。
いずれも「家族関係を公的に証明する」ための提出です。住民票が現住所を示す書類であるのに対し、戸籍は身分関係を示す書類だという違いがあります。現住所の証明が目的なら戸籍ではなく住民票です。住民票の英訳は住民票を英語表記にする方法にまとめています。
英訳は誰が作るのか(役所は発行しない)
市区町村の窓口が発行するのは日本語の戸籍謄本(全部事項証明書)だけです。英語版は存在しません。したがって英訳は次のいずれかで用意します。
- 1自分で翻訳する:多くの国・機関で認められています。費用はかかりません。末尾に翻訳者としての宣誓文(下記)を付けます。
- 2翻訳業者に依頼する:証明書付きの翻訳(Certified Translation)を発行してくれます。提出先が第三者による翻訳を求める場合はこちらです。
- 3大使館・領事館の指定様式を使う:国によっては指定フォーマットや指定翻訳者のリストがあります。
重要なのは、提出先がどれを求めているかを先に確認することです。自己翻訳で十分な相手に業者翻訳を出しても問題はありませんが、逆は受理されません。順序を逆にすると費用と時間を無駄にします。
本籍地の住所を英語で書く
戸籍で最初に迷うのが「本籍」の欄です。本籍は現在住んでいる場所ではなく、戸籍が置かれている場所を指します。実際には建物が無い土地や、皇居の住所を本籍にしている人もいます。つまり配送先住所とは性質が違いますが、英訳の書き方そのものは通常の住所と同じで、日本語の並びを逆にしてローマ字にします。
- 日本語
- 東京都千代田区千代田1番1号
- 英語
- 1-1 Chiyoda, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan
見出しは「Permanent Domicile (Honseki)」または「Registered Domicile」とします。Address とだけ書くと現住所と誤解されるため、Honseki の語を残しておくほうが安全です。
本籍は住居表示ではなく地番で書かれていることが多く、「1番1号」のように号まであるとは限りません。「〇番地」で終わる場合はそのまま「1-1」ではなく「1」と訳します。番地の訳し方は番地・丁目の英語表記に、都道府県の綴りは都道府県の英語表記一覧にまとめています。
氏名・続柄・日付の英語表記
氏名はパスポートと同じ綴りにします。ここがずれると同一人物と認められないことがあります。パスポートを持っていない家族の分は、ヘボン式で統一してください。表記の原則は氏名のローマ字表記ガイドを参照してください。
戸籍特有の用語は、次のように訳すのが一般的です。
- 戸籍謄本(全部事項証明書):Certificate of All Matters in the Family Register
- 戸籍事項:Family Register Matters
- 筆頭者:Head of the Family Register
- 続柄:Relationship(長男 = Eldest Son、長女 = Eldest Daughter、妻 = Wife)
- 出生:Birth / 婚姻:Marriage / 離婚:Divorce / 死亡:Death
- 従前戸籍:Previous Family Register
日付は和暦のままにせず西暦へ直します。「平成7年3月21日」は「March 21, 1995」です。提出先がアメリカ式(March 21, 1995)かイギリス式(21 March 1995)かで揺れますが、月を数字ではなく英単語で書けば、3/21 と 21/3 の取り違えは起きません。迷ったら月名を綴ってください。
翻訳者の宣誓文(自己翻訳のとき)
自分で訳した場合は、末尾に翻訳が正確であることを述べる一文と署名を付けます。決まった書式はありませんが、次の要素を入れておけば通常は足ります。
I certify that I am competent to translate from Japanese into English, and that the above is a true and accurate translation of the attached document.
Name: YAMADA TARO Address: 2-16-3 Konan, Minato-ku, Tokyo 108-0075, Japan Date: August 18, 2026 Signature: ____________________
ここに書く Address は本籍ではなく翻訳者本人の現住所です。連絡先として使われるため、実際に届く住所を英語で書いてください。
公証・アポスティーユが必要かどうか
提出先によっては、翻訳だけでなく書類そのものの authenticity(真正性)の証明を求められます。ここは国によって手順が分かれます。
- ハーグ条約(アポスティーユ条約)の加盟国へ出す場合:外務省でアポスティーユを取得します。これは戸籍謄本に押された市区町村長の公印が本物であることの証明です。
- 非加盟国へ出す場合:外務省の公印確認を受けたうえで、提出先国の在日大使館・領事館で領事認証を受けます。
- 私文書(自分で作った英訳文そのもの)に認証が要る場合:先に公証役場で公証人の認証を受けてから、外務省・大使館へ進みます。
注意点として、アポスティーユが付くのは原則として日本語の原本です。英訳文は添付物の扱いになります。「英訳にアポスティーユを付けてほしい」と言われた場合は、公証役場で翻訳文を私文書として認証してもらう流れになるため、提出先に手順を確認してから動いてください。
また、戸籍謄本には発行から3か月以内・6か月以内といった有効期限が設けられることが一般的です。認証に日数がかかることを見込んで、取得の順番を組んでください。
手続きの順序(まとめて動くとき)
遠回りを避ける順番は次のとおりです。
- 1提出先に確認する:英訳は自己翻訳で可か、認証はどこまで必要か。ここを飛ばさないでください。
- 2戸籍謄本を取得する:本籍地の市区町村で取得します。郵送請求も可能です。マイナンバーカードがあればコンビニ交付に対応している自治体もあります。
- 3認証が必要なら先に原本を通す:外務省のアポスティーユまたは公印確認・領事認証。
- 4英訳を作る:本記事の表記ルールで作成し、宣誓文を付けます。
- 5原本と英訳をセットで提出する:英訳だけを出すことは通常ありません。
3と4の前後は提出先によって入れ替わります。だからこそ1が最初に来ます。
GlobalShipsで住所の英語表記を作る
戸籍の本籍地や、宣誓文に書く現住所を英語にする部分は、GlobalShips(globalships.jp)で作れます。郵便番号を入力すると都道府県・市区町村を英語に自動補完し、番地・City・State・郵便番号に分けて出力します。処理はすべてブラウザ内で完結し、住所や氏名がサーバーへ送信されることはありません。登録も不要です。
まとめ
戸籍謄本に公式な英語版はなく、英訳は自分か翻訳業者が作ります。本籍地は「Permanent Domicile (Honseki)」として、住所と同じ逆順ローマ字で書きます。氏名はパスポートの綴りに合わせ、日付は西暦かつ月名を英単語で書きます。認証が要るかどうかは提出先次第なので、動く前に確認するのが最短です。現住所の証明が目的なら住民票を英語表記にする方法、ビザ申請の住所欄そのものはビザ申請の住所欄の書き方を参照してください。