住民票を英訳して出す場面で、住所と氏名は何とかなっても最後に残るのが「続柄」の欄です。世帯主・妻・子・父・母と並んだこの列を、そのまま英単語に置き換えていいのか判断がつきません。しかも住民票には「世帯主との続柄」としか書かれていないため、誰から見た関係なのかを取り違えると、家族関係が逆さまに読まれます。この記事では、続柄の英訳一覧と、訳すときの向きの決め方を整理します。
続柄は「世帯主から見た関係」で書く
ここが一番大事なところです。住民票の続柄欄の正式名称は「世帯主との続柄」で、書かれているのは世帯主から見たその人の立場です。自分から見た関係ではありません。
父が世帯主の3人世帯なら、住民票はこうなっています。
- 父 → 世帯主
- 母 → 妻
- 自分(息子) → 子
この「妻」は父の妻という意味であり、自分の妻ではありません。英訳するときも同じ向きを保ちます。Wife(of the head of household)、Son(of the head of household)です。
よくある失敗は、自分が申請者だからと自分を起点に訳してしまい、母を Mother、父を Father と書いてしまうことです。そう書くと「世帯主の母」「世帯主の父」という意味になり、家族構成が一世代ずれます。提出先が家族関係を確認するために求めている書類なので、この向きの取り違えは実害が出ます。
訳す前に、まず世帯主が誰かを確認する。これだけで大半のミスは防げます。
続柄の英訳一覧
住民票・戸籍で使われる続柄と、対応する英語表記です。
世帯主 → Head of Household 夫 → Husband 妻 → Wife 子 → Son(男子)/ Daughter(女子) 養子 → Adopted Son / Adopted Daughter 父 → Father 母 → Mother 義父(配偶者の父) → Father-in-law 義母(配偶者の母) → Mother-in-law 兄・弟 → Brother 姉・妹 → Sister 祖父 → Grandfather 祖母 → Grandmother 孫 → Grandson / Granddaughter 甥 → Nephew 姪 → Niece 同居人 → Housemate(続柄が親族でない場合) 縁故者 → Relative
「子」を Child と訳しても意味は通りますが、英語圏の書式では性別を示す Son / Daughter が使われるのが通例です。戸籍には性別が記載されているので、そちらに合わせて書き分けてください。
長男・次男・長女・次女は、英語に対応する一語がありません。First Son、Second Son、First Daughter のように順序を添えるか、単に Son / Daughter とだけ書きます。提出先が出生順を問題にしていないなら、順序は付けないほうが読みやすくなります。
兄と弟、姉と妹をどう分けるか
英語の Brother / Sister には年上・年下の区別がありません。日本語の兄・弟・姉・妹をそのまま一語で表す単語は存在しないので、区別が必要なときは補足します。
- 兄 → Older Brother(または Elder Brother)
- 弟 → Younger Brother
- 姉 → Older Sister(Elder Sister)
- 妹 → Younger Sister
ビザ申請の家族欄のように生年月日を併記する書式であれば、順序は日付から読み取れるので Brother / Sister だけで足ります。逆に、生年月日を書かせない書式で年長・年少が意味を持つ場合は Older / Younger を付けてください。
判断の目安は「その書類が兄弟の順序を使って何かを判定するか」です。判定に使わないなら、余計な語を足さないほうが読み違えられません。
世帯主が誰かで訳が変わる例
同じ家族でも、世帯主が違えば続柄の英訳はまるごと変わります。実例で見てください。
【父が世帯主の場合】 父:Head of Household 母:Wife 自分:Son 妹:Daughter
【自分が世帯主の場合(結婚して自分が筆頭)】 自分:Head of Household 配偶者:Wife 長男:Son 同居する母:Mother
下の例で母が Mother になるのは、世帯主である自分から見て母だからです。上の例の母が Wife だったのと矛盾しているように見えますが、どちらも「世帯主から見た関係」という同じ原則に従っています。
世帯分離をしている、単身世帯である、といったケースでは世帯主が本人になり、続柄の欄には「世帯主」とだけ入ります。この場合の英訳は Head of Household の一語で終わります。
役所は英訳を発行しない
市区町村の窓口が発行するのは日本語の住民票だけです。英語版の住民票というものは存在しません。英訳が必要なときは、次のどちらかで用意します。
- 1自分で訳す。原本のコピーと、自分で作った英訳を並べて提出します。多くの提出先では、末尾に「原本の内容を正確に翻訳したことを証明する」旨の一文と、翻訳した日付・氏名・署名を添えることを求めます。
- 2翻訳会社に依頼する。翻訳証明書付きで作ってもらいます。提出先が第三者による翻訳(certified translation)を指定している場合はこちらになります。
どちらが必要かは提出先によって違います。自己翻訳で受け付ける先もあれば、認証翻訳しか認めない先もあり、さらに公証やアポスティーユまで求める先もあります。訳し始める前に、提出先の要件を確認してください。順序を間違えると訳し直しになります。
住民票の英訳全般の手順は住民票を英訳する方法に、戸籍謄本の場合は戸籍謄本を英訳する方法にまとめています。翻訳者の宣誓文の書き方も戸籍の記事で扱っています。
続柄と一緒に訳す欄
続柄だけを訳すことはまずありません。同じ紙の上にある他の欄も、あわせて表記を決めてください。
氏名:パスポートと同じ綴りに揃えます。ヘボン式のルールは氏名のローマ字表記ガイドを参照してください。住民票の英訳とパスポートで綴りが違うと、同一人物と見なされないことがあります。
住所:都道府県から番地までを英語の語順に並べ替えます。日本の住所を英語で書く方法と番地・丁目の英語表記にルールをまとめています。マンション名や部屋番号がある場合はマンション・アパートの部屋番号の英語表記も参照してください。
本籍:住民票に本籍が載っている様式の場合、Registered Domicile と訳します。詳しい扱いは戸籍の記事にあります。
生年月日:日付の順序を必ず明示してください。日本の書式のまま数字だけ並べると読み違えられます。海外フォームの日付入力で DD/MM/YYYY と MM/DD/YYYY の見分け方を扱っています。誤読を避けたいなら 15 MAR 1990 のように月を英字3文字で書く方法が確実です。
性別:Male / Female と書きます。
提出先ごとの注意
住民票の英訳が求められる場面は限られていて、それぞれ見ている点が違います。
ビザ申請:家族関係の証明として求められます。続柄の向きが正しいこと、氏名の綴りがパスポートと一致していることが要点です。渡航先の申請フォームでの住所欄の書き方はビザ申請の住所欄の英語表記にまとめています。
海外の学校への出願:保護者との関係を示すために出すことがあります。大学出願フォームの住所欄、留学時の住所英語表記も参考にしてください。
海外での銀行口座開設・送金手続き:本人確認と住所証明を兼ねます。海外送金の受取人住所の英語表記に関連する書き方があります。
国際結婚の手続き:婚姻要件具備証明書とあわせて出すことが多く、この場合は戸籍謄本のほうが主役になります。
マイナンバーが記載された住民票は、海外提出用としては避けるのが無難です。窓口で「マイナンバーの記載なし」を指定して取得できます。制度上の要否や必要書類は提出先と自治体で異なるため、取得前に確認してください。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。住民票や戸籍を英訳するとき、住所部分の語順とローマ字表記をそのまま確認できます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
まとめ
続柄は世帯主から見た関係を書きます。自分を主語にすると家族構成が一世代ずれるので、訳す前にまず世帯主が誰かを確認してください。世帯主は Head of Household、妻は Wife、子は Son / Daughter と性別で書き分けます。兄弟姉妹に年齢の区別が要るときだけ Older / Younger を足します。役所は英語版を発行しないので、自己翻訳か翻訳会社かは提出先の要件で決めてください。認証翻訳や公証が必要かどうかは提出先に確認するのが先です。