銀行やネットバンキングから海外へ送金するとき、受取人の氏名・住所と銀行情報を英語で入力する必要があります。入力欄が多く、SWIFTコードやIBANといった見慣れない項目も並ぶため、どこに何を入れるか迷いやすい手続きです。この記事では各欄の意味と記入例、そして送金が止まる原因を整理します。
受取人(Beneficiary)欄に入れるもの
送金先の個人・法人の情報です。日本国内の口座へ海外から送ってもらう場合も、この形式で相手に伝えます。
Beneficiary Name(受取人名):口座名義と完全に一致させます。TARO YAMADA のように大文字が無難です。**口座名義と1文字でも違うと着金しません。** Beneficiary Address(受取人住所):日本の住所を逆順のローマ字で書きます。 → 2-16-3 Konan, Minato-ku, Tokyo 108-0075, Japan Beneficiary Account Number(口座番号):支店番号と口座番号。銀行によって桁の並べ方の指定があります。 Beneficiary Phone(電話番号):任意の場合もありますが、+81形式で入れておくと照会時に早く解決します。
住所の並べ方は日本の住所を英語で書く方法、番地の区切りは番地・丁目の英語表記を参照してください。
なぜ受取人住所が必須なのか
「口座番号があるのに住所も要るのか」と疑問に思う部分ですが、これは送金システムの都合ではなく規制上の要件です。
国際的な資金移動では、送金人と受取人の氏名・住所を電文に含めることが求められています(FATF勧告に基づく各国の規制)。金融機関は制裁対象者リストとの照合を行うため、住所が空欄だったり「Tokyo」だけのように不完全だと、照合できず送金を保留します。
実務的な影響は次の通りです。
- 住所が不完全 → 中継銀行で止まり、照会(inquiry)が来る。回答まで数日から数週間かかります
- 照会に応じない → 組戻し(送金元へ返送)になり、手数料を引かれて戻ります
- 国名がない → 最も多い不備です。必ず末尾に Japan を入れてください
つまり住所は「丁寧に書くと親切」ではなく、書かないと届かない項目です。
銀行情報:SWIFT・IBAN・ABAの違い
受取銀行を特定するコードは地域によって種類が違います。混同すると入力欄が埋まりません。
- SWIFT / BIC コード
- 世界共通の銀行識別コード。8桁または11桁の英数字(例:EXMPJPJT)。**日本の銀行はこれを使います。**
- IBAN
- ヨーロッパ・中東などで使われる口座番号を含む長いコード(例:DE89 3704 0044 0532 0130 00)。国コード+検査数字+口座情報からなります。日本にIBANはありません。
- ABA / Routing Number
- アメリカ国内向けの9桁の銀行コード。米国の銀行へ送る場合に求められます。
- Sort Code
- イギリスの6桁コード。
- BSB
- オーストラリアの6桁コード。
日本の口座へ受け取るなら、相手に伝えるのは **銀行名・支店名・SWIFTコード・口座番号・口座名義・受取人住所** です。IBANを聞かれたら「日本にIBANの制度はない」と伝え、SWIFTコードを案内してください。
受取銀行の住所も英語で書く
受取銀行(Beneficiary Bank)の名称と住所も英語で入力します。支店の住所を書くのが原則です。
- Bank Name
- Example Bank, Ltd.
- Branch Name
- Shinagawa Branch
- Bank Address
- 2-16-1 Konan, Minato-ku, Tokyo 108-0075, Japan
- SWIFT Code
- EXMPJPJT
銀行名の英語表記は各行の公式サイトに記載があります。**自分でローマ字化せず、公式表記を使ってください。** 表記が違うと照合できません。
また、送金元から「Intermediary Bank(中継銀行)」を聞かれることがあります。これは通貨や経路によって必要になるもので、受取銀行の公式サイトに指定が載っている場合はその通りに伝えます。指定がなければ空欄で構いません。
送金が止まる・組戻しになる原因
- 1口座名義と Beneficiary Name が違う:旧姓、ミドルネームの有無、ヘボン式の綴り違いが原因です。通帳やキャッシュカードの表記に合わせます。
- 2住所が不完全:国名なし、番地なし、都道府県なしが典型です。
- 3SWIFTコードの誤り:8桁と11桁を混同したり、支店コード部分を勘違いしているケース。
- 4全角文字が混ざっている:数字・ハイフンをすべて半角にします。
- 5送金目的(Purpose of Remittance)が曖昧:「Payment」だけでは照会が来ます。「Payment for consulting service」「Gift to family」のように具体的に書きます。
- 6通貨と受取口座の不一致:外貨を円口座で受ける場合、被仕向送金手数料や為替手数料が引かれます。金額が減るのは異常ではありません。
- 7制裁対象国・地域が絡む:経路によっては受付自体ができません。
手数料は送金銀行・中継銀行・受取銀行の3か所で発生しうるため、着金額が送金額より少なくなるのが通常です。誰が負担するか(送金人負担=OUR、受取人負担=BEN、分担=SHA)を送金時に指定できます。
Wise・PayPalとの違い
銀行の海外送金(SWIFT送金)と、Wise・PayPalなどの送金サービスは仕組みが違います。
- 銀行送金
- 中継銀行を経由するため手数料が複数箇所で発生し、着金までに数日かかります。高額送金や、相手が銀行口座しか持たない場合に使います。
- Wise・PayPal等
- 各国内の決済網を使うため手数料が低く着金も速いですが、上限や対応通貨に制限があります。
どちらでも受取人の氏名・住所が必要な点は同じです。Wise・PayPalへの住所登録はWise・PayPalに日本の住所を英語で登録する方法で解説しています。本人確認(KYC)で提出する書類の住所と登録住所を一致させることが要点です。
GlobalShipsで英語住所を用意する
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換する無料ツールです。受取人住所・銀行住所のどちらにも使え、番地・市区町村・都道府県・郵便番号が分かれた形で出力されるため、送金フォームの各欄にそのままコピーできます。処理はブラウザ内で完結し、住所情報が外部に送信されることはありません。
まとめ
海外送金では、①受取人の氏名を口座名義と完全一致させる、②受取人住所を国名まで含めて英語で書く、③日本の口座はIBANではなくSWIFTコードを使う、の3点が要点です。受取人住所は規制上の必須項目で、不完全だと中継銀行で止まり組戻しになります。送金目的も具体的に書いてください。