ESTA(米国の電子渡航認証)の申請画面では、住所・勤務先・連絡先などを入力したあとに「適格性に関する質問(Eligibility Questions)」が出てきます。病気、逮捕歴、薬物、テロ、過去のビザ却下などを聞く質問が並び、英文も硬いため、どこまでが該当するのか迷いやすい欄です。この記事では、各質問が何を聞いているかを日本語で整理し、迷いやすいケースの考え方をまとめます。質問の文言は変わることがあるため、最終的には申請時の画面の英文と、米国税関・国境警備局(CBP)の公式案内で確認してください。
適格性の質問はどこで出るか
ESTAの申請は、おおむね次の順で進みます。
- 1パスポート情報の読み取り・入力
- 2申請者情報(氏名・別名・他の国籍・両親の氏名など)
- 3連絡先・住所・ソーシャルメディア
- 4勤務先(雇用情報)
- 5渡航情報(米国内の連絡先・滞在先・緊急連絡先)
- 6適格性に関する質問
- 7権利放棄・確認事項(Waiver of Rights/Certification)
- 8入力内容の確認と支払い
適格性の質問はすべてラジオボタンで「Yes/No」を選ぶ形式です。自由記述の欄はありませんが、Yes を選ぶと補足の入力を求められる質問もあります。
質問の内容(要約)
質問は9問前後で構成されています。英文の要点を日本語にまとめると次のとおりです。正確な文言は申請画面で確認してください。
- 1身体・精神の障害、薬物の乱用・依存、または特定の感染症(結核など)があるか
- 2物や人に重大な損害を与えた犯罪、または道徳的に問題のある犯罪で、逮捕・有罪になったことがあるか
- 3違法薬物の所持・使用・流通に関する法律に違反したことがあるか
- 4テロ活動・スパイ・破壊工作・大量虐殺に関わろうとしている、または関わったことがあるか
- 5自分や他人のビザ取得・入国のために、詐欺や虚偽の申告をしたことがあるか
- 6米国で仕事を探しているか、または許可なく米国で働いたことがあるか
- 7米国ビザの申請を却下されたこと、入国を拒否されたこと、入国審査で申請を取り下げたことがあるか
- 8米国政府から許可された滞在期間を超えて滞在したことがあるか
- 9決められた日以降に、特定の国(イラン・イラク・北朝鮮・シリアなど)に渡航・滞在したことがあるか
9の対象国と期間は質問文に明記されています。国名を1つずつ確認してから答えてください。
答え方の原則
- 事実どおりに答える:ESTAは事前の審査です。入国審査で事実と違うことが分かると、虚偽申告として扱われ、以後の渡航にも影響することがあります
- 「該当しないと思う」で No にしない:判断がつかない場合は、No を選ぶ前に公式の案内を確認します
- 家族分は1人ずつ答える:子どもの分を親がまとめて申請するときも、質問はその子ども本人について答えます。親に逮捕歴があっても、子どもの回答には関係しません
- Yes でも即不許可とは限らない:内容によって判断されます。ただし Yes を選ぶと認証が出ず(Not Authorized)、ビザ申請を案内されることが多いため、渡航日が近い場合は早めに申請してください
迷いやすいケース
よく相談されるケースの考え方です。個別の判断は公式の案内や在日米国大使館の情報で確認してください。
- 持病で通院している、薬を飲んでいる:質問1が聞いているのは、他人に危害を及ぼすおそれのある障害や、特定の感染症です。一般的な持病で通院していることだけでは、通常この質問には当たりません
- 交通違反:反則金(青切符)で済んだ軽微な違反は、一般に質問2の「逮捕・有罪」には当たらないとされます。飲酒運転などで逮捕・起訴・罰金刑(赤切符)を受けた場合は、該当する可能性があります。不安な場合は大使館の案内を確認してください
- 不起訴・執行猶予・少年時代の逮捕:記録が残っているかどうかではなく「逮捕されたことがあるか」が問われる質問もあります。質問文の ever(これまでに)を読み落とさないでください
- 出張で会議や商談に参加する:質問6の「仕事を探している・許可なく働いた」は、米国の会社に雇われて働くことを指します。商談・会議・研修の受講などの短期の出張は、ESTAで認められる範囲とされています
- 過去にビザを却下された・ESTAが不許可になった:質問7は ever で聞いています。昔のことでも Yes です
- 特定国に仕事で行った:渡航の目的を問わず、期間内に渡航・滞在していれば該当します。報道・人道支援など一部の目的には例外の扱いがあるため、公式の案内で確認してください
- 二重国籍:特定国の国籍を持っている場合は、国籍に関する質問が別に出ることがあります。申請者情報の「他の国籍」の欄とあわせて正確に答えます
誤って答えたとき・送信後に気づいたとき
適格性の質問への回答は、送信後に修正できません。修正できるのは住所・メールなどの一部の項目だけです。
- 支払い前に気づいた:確認画面(Review)から該当の質問に戻って選び直します
- 支払い後に気づいた:原則として、新しく申請し直します。新しい申請には手数料がかかります
- 新しく申請すると、前の申請は無効になります。家族分をまとめて申請していた場合は、誤りのあった人の分だけ申請し直します
Yes と No の押し間違いは起こりやすいので、確認画面では質問ごとに回答を見直してください。スマートフォンで申請するときは特に注意が必要です。
権利放棄(Waiver of Rights)と確認事項
適格性の質問のあとに、2つの確認欄があります。
- Waiver of Rights(権利の放棄):ビザ免除で入国する人は、入国審査官の判断に不服を申し立てる権利を放棄する、という内容への同意です。同意しないと申請を進められません
- Certification(確認):入力内容が正しいことの宣誓です
家族や旅行会社が代わりに入力する場合は、第三者が入力したことを示す欄(Third Party Disclaimer など)にもチェックを入れます。入力したのが代理人でも、回答の内容は申請者本人の事実に基づいている必要があります。
認証が出なかったとき(Not Authorized)
審査の結果が「Not Authorized(渡航認証拒否)」になった場合、同じ内容でESTAを申請し直しても結果は変わりません。米国へ渡航するには、在日米国大使館・領事館でビザを申請します。
ビザ申請ではオンラインの申請書(DS-160)を作成し、面接を受けます。DS-160の入力はDS-160の住所・電話番号・メール欄の書き方から順に解説しています。渡航日が決まっている場合は、面接の予約状況を早めに確認してください。
適格性の質問の前に入力する欄
適格性の質問の前の欄は、次の記事で解説しています。
- 住所・電話番号:ESTA申請の住所を英語に変換する方法
- 勤務先:ESTAの勤務先住所の書き方
- パスポート情報:ESTAのパスポート情報欄の書き方
- 別名・旧姓:ESTAの別名・旧姓欄の書き方
- ソーシャルメディア:ESTAのソーシャルメディア欄の書き方
- 米国内の連絡先:ESTAの米国内連絡先の書き方
住所欄に入れる値は「ESTA住所の英語変換ツール」(globalships.jp/tools/esta-address)で、郵便番号から欄ごとに作れます。入力内容はどこにも送信されません。