海外に荷物を送ろうとして、送料が商品の値段を超えて驚いた。よくあることです。海外発送の送料は、国内の宅配便とは料金の決まり方そのものが違います。重さの刻みが細かく、箱の大きさが重さに換算され、地帯(ゾーン)によって単価が変わります。逆に言えば、仕組みを知っていれば下げられる余地が大きいということです。ここでは、実際に効く順に整理します。
送料が決まる3つの要素
海外発送の料金は、次の3つで決まります。
1つ目は重量です。ただし「実重量」と「容積重量」の2つがあり、重いほうが採用されます。ここが国内配送と一番違う点で、後で詳しく説明します。
2つ目は地帯(ゾーン)です。日本郵便なら第1地帯(アジア)、第2地帯(オセアニア・中近東・北米・中米・ヨーロッパ)、第3地帯(南米・アフリカ)のように区分され、遠いほど高くなります。FedEx・DHL・UPSも独自のゾーン表を持っています。同じアジアでも韓国と中央アジアではゾーンが違うことがあるので、思い込みで判断しないでください。
3つ目はサービスの速さです。航空便か船便か、優先扱いか標準扱いか。日数を譲れば送料は大きく下がります。
この3つのうち、送る側が自分の判断で変えられるのは「容積重量」と「サービスの速さ」です。地帯は相手の場所で決まるので動かせません。だから、安くする作業はこの2つに集中することになります。
容積重量の落とし穴:箱を小さくするだけで下がる
国際宅配便では、荷物の大きさから計算した重量を「容積重量(体積重量)」と呼び、実重量と比べて重いほうで課金します。一般的な計算式は次のとおりです。
容積重量(kg)= 縦(cm) × 横(cm) × 高さ(cm) ÷ 5000
例えば、40cm×30cm×30cmの箱に2kgの衣類を入れたとします。
40 × 30 × 30 ÷ 5000 = 7.2kg
実重量は2kgなのに、7.2kgぶんの料金を請求されます。3倍以上です。これが「軽いのに高い」の正体です。
対策は単純で、箱を荷物に合わせて小さくすることです。同じ2kgの衣類を30cm×22cm×15cmの箱に圧縮して詰めれば、
30 × 22 × 15 ÷ 5000 = 1.98kg
となり、実重量の2kgが採用されます。これだけで料金の区分が大きく変わります。
実務上のコツは3つです。
- 衣類や布製品は圧縮袋で体積を落とす
- 大きい箱の隙間を緩衝材で埋めるのではなく、荷物に合うサイズの箱に替える
- 既製の箱が合わないときは、箱の高さを切り下げてテープで留め直す
なお、除数は5000が一般的ですが、業者やサービスによって6000を使う場合があります。必ず利用する業者の規定を確認してください。
国際郵便(EMS・小形包装物)は原則として実重量で計算しますが、こちらは「長さ+横周=3m以内」「1辺1.5m以内」といった容積の制限があります(あて先国によって上限が異なります)。超えると引き受けてもらえません。
2kg以下なら「小形包装物」と「国際eパケット」が最安圏
軽い荷物をいちばん安く送る方法は、EMSではありません。日本郵便の「小形包装物(Small Packet)」という区分です。重量の上限は2kgで、手紙の料金体系に近い安さで送れます。
小形包装物には送り方の選択肢があります。
航空便(Air):数日〜2週間程度。追跡は付きません(書留を付けると追跡と補償が付きます)。
SAL便(Economy Air):航空便より遅く船便より速い区分です。ただし取り扱いの有無は情勢によって変わるため、現在利用できるかを確認してください。
船便(Surface):1〜3か月。最安ですが日数が読めません。
さらに、この小形包装物に追跡と一部補償を組み合わせたのが「国際eパケット」です。2kg以下でオンライン発送の手続き(国際郵便マイページ)を使うことが条件で、追跡付きとしては最も安い部類に入ります。1kg未満の小物を海外のフリマ購入者に送る、といった用途ではこれが基本形になります。
さらに軽い荷物には「国際eパケットライト」という区分もあります。追跡は付くものの配送日数は長めで、その代わり単価が下がります。
選び分けの目安はこうです。
- 2kg以下・急がない・追跡が要る → 国際eパケット
- 2kg以下・急がない・追跡が不要で最安 → 小形包装物の船便
- 2kgを超える・急ぐ → EMSまたは国際宅配便
- 2kgを超える・急がない → 国際小包の船便
発送手続きに必要な英語の宛先表記は、GlobalShips(globalships.jp)で郵便番号から確認できます。差出人欄の書き方は差出人住所(Return Address)の英語での書き方にまとめています。
急がないなら船便:料金差は数倍になる
重い荷物を安く送る唯一の現実的な手段が船便です。留学や海外赴任の荷物、書籍、食器など、届くのが1〜3か月後でも困らないものは船便に回すと料金が桁で変わります。
船便を使う判断基準は次のとおりです。
向くもの:本、衣類、食器、調理器具、寝具、日用品のストック。壊れにくく、賞味期限がなく、すぐに使わないもの。
向かないもの:食品(賞味期限と検疫)、電池を含む機器(そもそも制限があります)、季節物、贈り物で日付が決まっているもの。
実務上の注意が2つあります。
1つは、船便は日数が読めないことです。「約1〜3か月」という幅は実際にそのとおりで、天候や港の混雑で伸びます。到着日を約束する用途には使えません。
もう1つは、梱包を厳重にする必要があることです。船便は輸送期間が長く、コンテナ内は高温多湿になります。段ボールが湿気で弱るため、大きめのビニールで中身を包んでから箱に入れる、テープで目張りする、といった手当てが要ります。
引っ越し規模になるなら、郵便ではなく海外引越サービスの「シェアコンテナ」や「ダブルボックス」といった単位で見積もりを取ったほうが安くなる場合があります。
分けるより、まとめる
複数の荷物を送るとき、小分けにすると安くなりそうな気がしますが、逆です。海外発送の料金は重量に対して直線的に増えないため、原則としてまとめたほうが安くなります。
理由は2つあります。
1つは、料金表に基本料金の性格が含まれていることです。1個口ごとに固定的な費用がかかるため、個口数が増えるほど総額が膨らみます。
もう1つは、重量が増えるほど1kgあたりの単価が下がる料金表になっていることです。2kgを2個より4kgを1個のほうが安い、という関係が成り立ちます。
ただし、まとめないほうがいい場合もあります。
- 重量やサイズの上限を超えるとき(超えれば受け付けてもらえません)
- 容積重量が跳ね上がるとき(無理に1箱にして大きな箱を使うと逆効果です)
- 課税価格が上がって関税・消費税の免税枠から外れるとき
3つ目は受け取る側の負担の話です。まとめて価格が上がれば、相手国で課税される可能性が高まります。日本に届く側の考え方は海外通販の関税・消費税はいくら?にまとめました。相手国の基準は国ごとに違いますが、「少額なら非課税、超えると課税」という構造は共通しています。送料を数百円削るために相手に数千円の税を負わせるなら、本末転倒です。
割引と契約:同じ荷物でも料金が違う
同じ荷物を同じ場所へ送っても、手続きの仕方で料金が変わります。
国際郵便マイページの利用:日本郵便のオンラインサービスで送り状を作ると、EMSや国際小包で割引が適用されます。手書きのラベルを窓口に出すより安くなり、ラベルの記入ミスも減ります。国際eパケットはそもそもこの手続きが前提です。
事前の支払い・後納契約:法人や継続的に出す人向けに、料金の後納や事前決済の制度があります。個人でも件数が多いなら検討の価値があります。
国際宅配便の契約料金:FedEx・DHL・UPSの店頭・定価(リストレート)は高めに設定されています。法人契約を結ぶと大幅に下がるのが通常で、個人でもアカウントを作って発送すると定価より安くなる場合があります。
比較・代行サービス経由:複数社の契約料金をまとめて提供する発送代行やマーケットプレイス型のサービスがあります。自分で契約するより安い料金が使えることがある一方、トラブル時の窓口が増える点は理解しておく必要があります。
フリマ・EC事業者の提供する発送サービス:メルカリ、eBay、Shopifyなどは提携の国際配送を用意していることがあり、個人が単体で送るより安いことがあります。売る場所が決まっているなら、まずそこの仕組みを確認するのが早道です。詳しくはメルカリで海外発送する方法とeBayの住所入力を参照してください。
送料以外にかかる費用を見落とさない
「送料が安い」だけで選ぶと、総額で損をすることがあります。次の費用も合わせて見てください。
燃油サーチャージ(燃料割増):国際宅配便では送料に対して数%〜十数%が上乗せされます。料率は毎月見直されるため、見積もり時点の額と実際の請求がずれることがあります。
地域割増(Remote Area Surcharge):相手の住所が主要都市から離れていると加算されます。金額がまとまっているため、これが乗るかどうかで順位が入れ替わることがあります。事前に業者のサイトで郵便番号を入れて確認できます。
通関関連の手数料:受け取る側が払う立替手数料や通関料です。送料の比較には出てきませんが、相手の負担になります。
補償(保険):既定の補償額は低く設定されています。壊れ物や高額品では追加の保険料が要ります。判断材料は壊れ物を海外に送る方法にまとめました。
梱包資材:箱、緩衝材、テープ。小さく詰めるための資材代は、容積重量の削減分で十分に回収できることが多いです。
再配達・住所不備による返送:宛先が不正確だと返送され、往復ぶんの費用が無駄になります。住所の英語表記は、送る前に必ず確認してください。よくある誤りは海外発送でよくある住所のミスにまとめています。
ケース別:どれを選ぶか
具体的な場面で整理します。料金は改定されるため、順番の目安として読んでください。
アクセサリーなど300gの小物をアメリカへ、追跡は欲しい:国際eパケット。2kg以下で追跡が付く区分としては最安圏です。
書籍5kgをイギリスへ、3か月後でよい:国際小包の船便。EMSとは比較にならない差が出ます。
衣類3kgを韓国へ、1週間以内:EMSか国際宅配便。近距離では両者の差が縮まるので、両方の見積もりを取る価値があります。
書類をドイツへ、明日中に:国際宅配便一択です。書類扱いの料金体系があり、EMSより速く着きます。
海外赴任で段ボール10箱:郵便ではなく海外引越サービスで見積もりを取ってください。個口ごとの発送では割高になります。
壊れ物の食器をオーストラリアへ:船便は避けます。輸送期間が長く、振動と湿気を受ける時間が増えるためです。EMSか国際宅配便で、梱包を厚くするほうが結果的に安全です。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。EMSや国際eパケットの送り状に書く差出人住所、国際宅配便のアカウント登録に使う住所を、そのまま写せる形で確認できます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
まとめ
海外発送の送料を下げる順番は決まっています。まず箱を小さくして容積重量を実重量に近づける。次に、急がない荷物を船便や小形包装物に回して日数を譲る。そのうえで複数の荷物は1個口にまとめ、最後に国際郵便マイページや法人契約といった割引の仕組みに乗せる。2kg以下で追跡が要るなら国際eパケット、重くて急がないなら船便、急ぐなら国際宅配便、という骨格を覚えておけば大きく外しません。燃油サーチャージや地域割増を含めた総額で比べること、そして住所の英語表記を正確に書いて返送を防ぐことも、結果的に送料を節約することにつながります。料金と取り扱い条件は改定されるため、発送前に各社の最新の料金表で確認してください。