海外通販で買った荷物が届いたら、配達員に現金を求められた。あるいは数週間後に配送業者から請求書が来た。よくある話です。海外通販の価格には日本の税金が含まれていないため、輸入の時点で別に払う必要があります。ここでは、いくらかかるのか、どう計算されるのか、どこで払うのかを整理します。金額の目安が分かれば、買う前に総額を見積もれます。
関税と消費税は別物
輸入時にかかるのは、原則として次の2つです。
関税:品物の種類ごとに税率が決まっています。衣類や革製品は高め、書籍やコンピュータ関連は無税、というように差が大きいです。
消費税(および地方消費税):輸入した品物にも国内の買い物と同じようにかかります。標準税率は10%、飲食料品などは軽減税率の8%です。
この2つは別々に計算され、消費税は「課税価格+関税額」に対してかかります。関税が無税の品物でも消費税はかかる、という点を見落としやすいので注意してください。
さらに、酒やたばこには酒税・たばこ税が加わります。
そして税金とは別に、手続きの手数料がかかります。これは税金ではなく配送業者や郵便局に払うものです。
1万円の免税枠と「×0.6」の計算
課税価格の合計が1万円以下の輸入は、関税と消費税が免除されます。少額輸入貨物の免税と呼ばれる仕組みです。
ここでいう「課税価格」は、商品の値段そのものではありません。原則は商品代金に送料と保険料を足した額(CIF価格)ですが、個人で使う品物には別の計算が認められています。海外の小売価格に0.6を掛けた額を課税価格とする方法です。
つまり個人使用なら、
課税価格 = 商品代金 × 0.6
で見ます。この式で1万円になるのは商品代金が約16,666円のときです。したがって、個人で使う品物なら商品代金がおよそ16,666円までは免税の範囲に収まります。
注意点が3つあります。
1つ目は、これが「個人的な使用に供する物品」に限られることです。転売目的で仕入れる場合はこの計算は使えず、送料を含めた実際の価格で判断されます。
2つ目は、判断が1回の輸入単位で行われることです。同じ日に複数の荷物が届くと合算されることがあります。免税枠に収めるために注文を分割しても、同時に到着すれば意味がありません。
3つ目は、税関の判断が優先されることです。申告価格が実際と違うと見られれば、税関が価格を認定します。
1万円以下でも課税される例外品目
免税枠には例外があり、次のような品目は課税価格が1万円以下でも関税と消費税がかかります。
- 革製品(ハンドバッグ、財布、ベルト、革靴など)
- 毛皮製品
- ニット製の衣類(編物の衣類)
- 履物
- その他、国内産業保護の観点から指定された品目
海外通販で買われることが多いカテゴリが並んでいるのが厄介なところです。数千円のレザー小物や海外ブランドのニットを買って、想定していなかった請求が来るのはこのためです。
対象品目は変わることがあるため、購入前に税関の公表資料で最新の一覧を確認してください。金額の大きい買い物なら、なおさら確認する価値があります。
税率はどう決まるか
関税率は品物の分類(HSコード)ごとに決まっています。個人が正確に引くのは難しいので、目安として押さえるべきは次の2点です。
1つ目は、課税価格が20万円以下の輸入には「少額輸入貨物の簡易税率」が使われることです。品目を大きな区分にまとめた簡易な税率表で、区分の数は限られています。酒類、衣類、履物・かばん類などは区分ごとに税率が決まっており、それ以外の多くの品物はまとめて一律の低い税率が適用されます。
2つ目は、課税価格が20万円を超えると一般の税率が適用され、手続きも重くなることです。国際郵便でも、20万円を超えると通常の輸入申告が必要になり、自分で申告するか通関業者に依頼することになります。高額な買い物をするときは、この境目を意識してください。
税率と区分は改正されます。買う前に総額を知りたい場合は、税関が公開している税率表や事前教示の制度を使って確認するのが確実です。
支払い方法と手数料
払い方は配送の種類で変わります。
国際郵便(EMS・国際小包)の場合:課税されると、荷物に課税通知が付いて届きます。受け取り時に配達員へ支払うか、郵便局の窓口で支払います。税金とは別に通関料がかかり、課税された郵便物1個につき数百円です。事前に金額を知りたいときは、追跡番号で状況を確認すると通関中かどうかが分かります。
国際宅配便(FedEx・DHL・UPS)の場合:業者が税金を立替えて先に通関し、荷物は先に届きます。あとから請求書が来る流れです。ここで立替手数料が加算されます。金額は業者ごとに違い、税額が小さいと手数料の比重が大きくなります。数百円の税金に対して1,000円前後の手数料が乗ることもあります。
海外の販売サイトが「関税込み」で徴収する場合:購入時に税金相当額を預かり、業者が納付する方式です。この場合、届いたときに追加の支払いはありません。ただし表記が分かりにくいことがあるため、決済画面の内訳を確認してください。「DDP」と書かれていれば売り手負担、「DDU」または「DAP」なら受取人負担が原則です。
請求書の宛先には英語表記の住所が入ります。書き方は請求先住所(Billing Address)と配送先住所の違いと海外通販の住所を英語で入力する方法にまとめています。
請求が高すぎる・身に覚えがないとき
よくある3つのケースです。
買った覚えのない請求書が来た:国際宅配便の立替払いの後払い請求である可能性が高いです。荷物の追跡番号と品名が請求書に載っているので、自分の注文と照合してください。
税額が想定より高い:課税価格の認定が原因のことが多いです。販売サイトのセール価格ではなく通常価格で見られていたり、送料が含まれていたり、免税の例外品目だったり。内訳を確認し、根拠のある資料(注文確認メール、決済明細)があれば税関へ確認を申し出ることができます。手続きの窓口は、郵便物なら通関を扱った税関外郵出張所、宅配便なら配送業者です。
返品したのに税金を払った:いったん課税されたものを返送した場合、条件を満たせば還付や免税の手続きがあります。ただし手続きは煩雑で、期限や必要書類の要件があります。金額が小さいと手間のほうが大きくなりがちなので、返品可能性のある高額品は、あらかじめ販売元の返品条件を確認しておくのが現実的です。
自分が送る側になるとき
海外の相手に荷物を送る場合、税金を払うのは受け取る側です。相手の国のルールで課税されます。EU向けならVAT、イギリス向けなら別の基準があり、少額の荷物でも課税される国が増えています。
送る側でやるべきことは、内容品と価格を正しく申告することです。価格を低く書けば相手の負担は減りますが、虚偽申告になり、没収や罰則の対象になります。「Gift」と書けば無税になる、というのも誤りです。多くの国で贈り物の免税枠は非常に小さく、そもそも実態が商品なら贈り物ではありません。
申告書類の書き方は税関告知書(内容品の申告)の書き方に、そもそも送れない品物については海外に送れないもの一覧にまとめました。
GlobalShipsで住所を英語に変換
GlobalShips(globalships.jp)は、郵便番号を入力するだけで日本の住所を英語表記に変換できる無料ツールです。海外通販の配送先住所(Address Line 1・2、City、State / Province、ZIP / Postal Code)や請求先住所を、フォームにそのまま写せる形で確認できます。変換はブラウザ内で完結し、入力内容が外部に送信されることはありません。
まとめ
課税価格が1万円以下なら関税・消費税は免除されます。個人使用の品物は商品代金×0.6で課税価格を見るため、およそ16,666円までが免税の目安です。ただし革製品、ニット製衣類、毛皮、履物などは1万円以下でも課税されます。課税価格20万円以下には簡易税率が使われ、20万円を超えると通常の輸入申告が必要になります。支払いは、郵便なら受け取り時に郵便局へ、国際宅配便なら後日の請求で、立替手数料が別にかかります。制度と税率は改正されるため、金額の大きい買い物の前には税関の公表情報を確認してください。